[PDF版はここをクリックしてください]景色通信Vol.3
『環境の違いに対する環境色〜空の色・大地の色』
この5年間、文部科学省オープンリサーチ事業・研究プロジェクトに加わり、パキスタン最北部、ウズベキスタン、インドラージャスタン、イランを訪れ地域の人々の嗜好色調査や現地色彩調査をおこなってきました。
日本にいると、日ごろ意識的に日本の環境風土色を意識することは少ないのですが、日本を離れ海外に渡ると、あらためて日本の環境や風土色を再認識することになります。
それぞれの大地色から日干し煉瓦の色彩がうまれ、植物の葉の色調も微妙に変化します。また、地理地形が気候を左右し、空の色や色彩の際立ちに違いが感じられます。
訪れたウズベキスタン、イランでは、特に真っ青な青空が印象的で、イスラム教モスクのブルータイルやモザイク壁が美しく映えていました。日本の空の青とは明らかに異なります。一方インドでは陽射しがとても強く湿度も高いため、澄み切った青空を見ることは稀でした。また、パキスタン最北部フンザでは、樹木の葉の色や住居の土壁の色、インダス川の色に、大地の色である「緑みの灰色」を基調要素として見出すことができました。ぜひ、日本の空の色や大地の色もじっくりと観察してみたいと思います。(水野谷悌子)
ウズベキスタン・ブハラ カラーン・モスクの空
イラン・イスファハーン エマーム広場の空
インドラージャスタン州ジョードプル メヘラーンガル砦の見える市内バザール景観
パキスタン最北部フンザ 断崖に建つ住居
パキスタン インダス川の色と大地の色