[PDF版はここをクリックしてください] 景色通信Vol.18
『韓国・慶州・良洞民俗村』
初秋の韓国・慶州を久しぶりに訪れた。
大邱で、カラーデザインウィーク展2009に併せて、環境色彩国際フォーラムが開催され、そのフォーラムの講師として恩師のジャン=フィリップ・ランクロさんが招待され、再会を目的に横川昇二さん主宰のツアーに入って訪韓した。
フォーラムの翌日、ランクロさん他のメンバーと慶州に出かけ、良洞(ヨンドン)民俗村の一部と佛國寺の見学をした。
良洞民俗村は朝鮮王朝時代の両班(ヤンバン)の村が昔の姿のまま残されていて、安楽川を前に、山を背にして四つの谷で構成された地形のなかに160軒ほどの家屋があり、今も人が住み、耕作をしている様子も見うけられる。
瓦葺きの両班の家と藁葺きの小作農の家が混在して、数百年まえの韓国の伝統家屋や村環境の姿が一望できる地域である。寂びた黒い瓦、古色を帯びた素木の柱や建具、黄土に錆色の石を埋め込んだ土塀、オンドル、藁葺きの農家などと山の常磐色や畠の緑が落着いた色彩景観を形成している。中でも屋根の景観はすばらしい。地元では世界遺産に登録する運動を進めているとのことだった。
この伝統的景観と、車中から見た高彩度の広告だらけの都市の町並みや、高層住宅が集積した巨大な白い塊とのギャップは、日本も同じ傾向とはいえ、どうしたものだろうか。(永田泰弘)