くらしの色彩研究会からのお知らせ

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2017年11月28日(火) 2017年11月25日(土)26日(日)日本色彩学会平成29年度研究会大会

大会前日(11月24日・金)シンポジウム・プレ企画

 研究会初日に開催されるシンポジウム「“伝統・未来”名古屋から世界へ 〜Arte 凸盛りNagoya〜」のプレ企画として、名古屋の歴史と文化にふれる見学会と懇親会が開催された。20名ほどの参加者は、2班に分かれ、観光ルートバス「メーグル」で 豊田産業技術記念館と名古屋城を目指した。名古屋城は 紅葉真っ盛り。庭園の中にある二の丸茶亭では、黄金の茶釜で点てた金箔入りの抹茶と、お菓子をいただき、在りし日の尾張徳川の栄華に思いを馳せた。
名古屋城本丸御殿は、戦火で消失したが2009年から復元が進められている。狩野派の絵師たちが、全力を注いで描いた障壁画も、豊富な資料をもとに本格的な復元模写がなされ、公開が始まった。これに携わった阪野智啓先生の解説は、たいそう興味深いものであった。玄関近くの公的な場は、金箔張りのまばゆい襖と、豹や虎の猛々しい襖絵が特徴であるが、私的な場になるにつれ、穏やかな金泥の襖に、鳥や小動物、京都のお祭りなどの風景が描かれる。さらに私的な居住の間では、水墨画となるそうである。
夕方、堀川沿いの古い町並みを散策し、円頓寺商店街や、堀川水運を生かした尾張商人の蔵が残る四間道を通り、懇親会場のギャラリーカフェブランカに向かった。美味しい食事の後は、堀川端に若者たちが始めた“なやばし夜イチ”に移動した。ここには、自作の野菜やアジアの雑貨、オーガニックな食べ物を売る店が並び、若々しいエネルギーに満ち溢れていた。夜イチ代表の寺園風氏は、農業をしながらアジア諸国を旅した経験が、今につながったと話す。体もココロも温かく元気になる夜イチであった。プレ企画の参加者は、夜イチでエネルギーをチャージし、翌日のシンポジウムに臨んだ。


















大会第1日目(11月25日・土)
研究会大会ワークショップ 名古屋上絵付け凸盛り体験

 名古屋絵付けの中でも特に珍しい技法の立体的なデコ盛りを体験できるワークショップ企画が、研究会大会第一日目の午後に開催され、10名が参加した。
指導は厚生労働省認定陶磁器上絵付1級技能士の杉山ひとみさんと安藤栄子さん。5cmほどの大きさのペンダントトップを制作した。
まずは花のかたちの下書きを描き、慎重に白磁のペンダントトップに転写した。参加者は皆、真剣な表情で作業する。その後、独特のもったりとした釉薬を袋に詰め、お菓子のアイシング(砂糖衣飾り)の要領で描いていく。この専用の釉薬作りが大変に難しいそうで、固すぎれば滑らかな線が描けず、柔らかすぎればデコ盛り独特の立体感が出ない。これはさすがに素人では作れないので、杉山ひとみさんの職人技で様々な色の釉薬が用意された。
参加者は好きな色の釉薬を選んで乾かないうちに素早く描き、仕上げにキラキラと輝くラメをふる。立体的で華やかな絵付けの完成だ。参加者全員の描き終わったブローチを並べ、出来上がりを想像し会話がはずみ、後日、焼き上がった作品が届くのを楽しみに、ワークショップは終了した。
めずらしい名古屋の伝統技法を体験でき、ますます名古屋文化への興味がわいてきた。






大会第1日目(11月25日・土)
LOJ&LC  
シンポジウム“伝統・未来”名古屋から世界へ 〜Arte凸盛りNagoya〜

 風土と伝統を活かし、アートワークを中心に名古屋の魅力に光を当て、未来に向けてプラスのパワーを発信することを目的として、シンポジウムが開催された。コーディネーターはLOJ主査の林 英光。
一組目のパネラーはアルテデコジャパン 厚生労働省認定 陶磁器上絵付け1級技能士の、杉山ひとみさんと安藤栄子さん。名古屋絵付けの過去・現在・未来を映像と共に紹介、伝統技法の一つであるデコ盛り技法の新しい取り組みや継承活動についてお話いただいた。
次のパネラーは、愛知県立芸術大学名誉教授  愛知県立芸術大学文化財保存修復研究所顧問の秦 誠先生。名古屋城本丸御殿の「復元模写」について、その手法や苦労話等を聞かせていただいた。2018年6月には復元が完成公開されるそうで、今から楽しみである。
3組目のパネラーは、有松鳴海絞 括り職人の大須賀 彩さん。有松鳴海絞の様々な技法で、ありきたりの素材が魅力あふれる個性的な作品に変貌する様を、実例写真と共に紹介していただいた。有松鳴海絞のオリジナリティあふれる面白さと可能性は、オープンスペースに展示された作品でも体感できた。
最後のパネラーは、納屋橋で開催されるナイトマーケット「なやばし夜イチ」代表の寺園 風さん。なぜ「なやばし夜イチ」を企画したのか、そのきっかけやオープンするまでの経過を、アジア旅の経験・写真と共にお話いただいた。名古屋を愛する若者たちのイキイキとしたエネルギーが、これからの名古屋を拓いていくのであろうことを実感した。
ディスカッションでは、名古屋の伝統文化を守り育む大切さや、未来を創っていくその夢など、「伝統・未来 名古屋から世界へ」を実感できる、有意義な意見が飛び交い、充実した時間となった。













合同研究発表会
 大会期間中、オープンスペースにおいて「くらしの色彩研究会」の今までの研究活動ポスターを展示した。ポスターの閲覧に訪れた方々から様々な意見や感想をいただき、これからの研究活動の英気となった。



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