景色通信Vol.23『住んでみたいコモ』

  • 環境色彩研究会
  • 2010年01月09日

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景色通信Vol.23
『住んでみたいコモ』

1年の間に2つの地域で暮らすような生活に憧れる。そんな人生観を持つ人たちの別荘がコモ湖畔には多く点在している。ミラノから車を走らせ約1時間で、スイスとの国境も近い風光明媚なこのまちへ到着する。その昔ローマ帝国によって開かれた大変古いまちだ。皇帝や芸術家たち、今日では有名人の豪奢な別荘も多い。避暑地の隠れ家としては、落着きあるまち並みが心身の保養や充電には好都合であろう。教会に食料品店、ブランドショップや書店など、ここにはコンパクトな都市機能があり、最新の情報はインターネットで充分満たされる。滞在中は、あくせくと働く人や急ぎ足で通りを横切る人は殆ど見かけることがなかった。湖畔をゆっくり散歩する人、自転車仲間たちの集いやカフェでくつろぐ観光客たち…。 自分のリズムで生活できるところでありながら、世間に取り残されるような気分になることはない。賑やか過ぎないぶん健康志向で、それぞれが感じる豊かさを追求できる場所のように映る。土曜の朝、まちの広場で売られるフルーツの天然色が、眼にまぶしい程に美しい。思わず手に取って、新鮮な香りを身体一杯に吸い込みたい気分になる。(加藤進久)