景色通信Vol.31『地域伝統芸能まつり』
- 環境色彩研究会
- 2011年04月28日
景色通信Vol.31
『地域伝統芸能まつり』
私が住んでいる東京都西多摩郡日の出町の国の重要文化財に指定されている「鳳凰の舞」保存会がNHK番組で紹介された。長男がメインの踊り手として出演をして、私は記録係として協力している。東京に移り住んで23年が経って地域にもとけ込んだように思うが、幼少の頃から引越が多くて落ち着いて地元の祭りに関わったことが殆どなかった。200年前から宮大工業を営んでいる当家は、東京でも寺社建築で腕を振るっている。父が酒の席でお囃子の山車を作る仕事を材木代程度の予算で引受けてしまうこともあったのだが、祭りの神輿や山車は何百年も大事にされるもので、作りがいがあるぶん手加減などできない仕事なのである。「祭りという空間は外から見ているより、その中に入ってみた時からドラスチックに変わる」という大学時代の講義にもあったように、それから私は毎年、祭りの日は仕事も休んで職人達と神輿を担ぎつづけている。
番組収録の時に全国から招かれた様々なお祭りを拝見した時は、あらためて日本文化の多彩さに感銘を受けた。実際にそれぞれの地域を訪れて、祭り空間を体感して共有することで、派手さ地味さの中にある宗教や娯楽性がすこしでも理解できるのかもしれないと思った。今年も9月24日と25日に予定されている雨乞い踊りに歌やお囃子の装飾をつけたとされる「鳳凰の舞」を是非ともご堪能いただきたい。地域伝統芸能まつりへの参加団体の中には、東日本大震災に見舞われた陸前高田の方々もいらした。これからの復旧・復興を心より願わずにはいられない。(山田誠司)
第11回地域伝統芸能まつり:提供NHK
前列が鳳凰の舞メインの踊り手たち