「現代ヨーロッパのパーソナルカラーを学ぶ」講演会 開催報告

  • パーソナルカラー研究会
  • 2019年09月05日

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2019年5月19日 講演会報告書
 

幹事 中井浩子

パーソナルカラー研究会では、2019年度第1回講演会を2019年5月19日(日)千代田区学士会館にて、「現代ヨーロッパのパーソナルカラーを学ぶ」講演会を開催いたしましたのでご報告いたします。
2018年から当研究会主査稲垣有美子氏を通じて、講演会前日に一般社団法人日本カラーライトセラピー協会様で講演をされるGabrielle M.Buresch-Teichmann(ガブリエル・M・テインマン)女史にパーソナルカラー研究会で講演をお願いできないか交渉を重ね、講演会を実現できる運びとなりました。研究会が創設されて以来、初めて海外のゲストスピーカーにご登壇いただき、研究会の歴史に残る盛大な講演会となりました。
ガブリエル女史はInternational Light AssociationのPresidentのお一人で、ASホリスティックカラーコンサルタント兼パーソナルカラーリスト。1987年から活動をされ30年以上のキャリアがありヨーロッパにおいてカラーコンサルタントのパイオニア。日本にパーソナルカラーが上陸した30年前、同じころにウィーンでカラーリストとして活動を始められたガブリエル女史にヨーロッパのパーソナルカラーについて是非お話を伺いたく講演依頼をしておりました。
キャンセル待ちがでるほど申し込みがあり、また非学会員でも是非講演会を聞きたいという熱い要望に応え、僅かでしたが枠を設け一般のかたにも参加できるようにしました。クラシカルなまたアットホームな会場で講演会は始まりました。一部でありますがご紹介致します。
「パーソナルカラーとは、似合う色とは」
自分にあった色を着ていると、髪から肌まで全てが良くみえ、オーラが発せられている。色が自然に見え、肌、眼、髪が調和して見える。自身が前にでる。似合う色は相手に良い印象として残る。ドイツでは「第一印象に二回はない」という言葉がある。診断で一番大事なことは肌の色であり瞳や髪の色は二の次。
「パーソナルカラーと心理」
自分に似合う色を着ていると、存在感を認めてもらえ、自分が誰かという主張をしている。似合う色は自信に繋がる。ファースト・レベルでは外見がキレイに見え、セカンド・レベルでは心理に影響し、サード・レベルではその人のエネルギーレベルにまで影響する。つまり外見から内面へと影響が段階的に変わっていく。事例、会社に不安を持っている男性が診断に来た。いつもグレーや黒を着ていて、誰も彼のことを気づくことはなかった。診断後、似合う色を身に着けることにより周りが彼を認めるようなり、彼自身の自信に繋がった。
「4シーズンにパーソナリティが存在する」
言葉にしなくても相手に印象を与えている。
スプリングは外向的で少しシャイ、衝動的に動く、遊び心があり、センシティブでもあるタイプ。サマーはクラッシック、融通が利き、物事はきちんと分かりたいタイプ。オウタムは独立したい人が多く、芸術家、起業家、優しいタイプ。ウィンターは性格的また意志的に強く分析家で上司に多いタイプ。色での診断が難しい場合はこの4シーズンのパーソナリティが判断材料となる。
「これからのパーソナルカラーに必要なこと」
ウィーンでパーソナルカラー活動を始めて2年が経った頃、全盲の女性から診断依頼がきた。まだ駆け出しの頃でどのように色を伝えてよいのか不安があり、診断を受けるべきか否かで迷った。依頼者に「ドレープを当てた時の感情を伝えてください」と感情から似合う色を伝えようという試みをした。その結果、似合う色を当てると「好きです」とニコニコしており、似合わない色を当てると「好きではないので早くどけください」と告げたという。ガブリエル女史は「目が見えなくてもどうしてこれだけの色を感じるのだろう。色は表面的なものではない。似合う色をつけるとその人のオーラが出て輝き、エネルギーが出る。似合う色は元気になり、セラピーへと繋がる」と結論を導き心理の勉強を始めるきっかけとなった。
カラーセラピーを勉強するきっかけやパーソナルカラーに心理が必要であることを熱く語られていました。また似合う色は自信を持って生きていけるエネルギーとなること、それはすごく大切なことという言葉が印象に残りました。
「ドレーピングの実践」
カラーリストにとってどのようなドレープを使いどのように診断しているのかは大変興味があるところです。事前アンケートでも「是非ドレープの実践をお願いしたい」と多くの声がありました。
短い時間でしたが会場からお一人診断者を募りドレーピング(布を当てること)をしていただきました。顔周りにドレープを当てた時の色の見え方、肌や瞳、髪の状態の見え、色の全体のバランス(調和)など診断者への説明は日本で行っている方法と変わりありませんでした。ガブリエル女史が結果を伝える前に「会場にいるカラーリストさんはどのシーズンが一番似合うと思いますか」と予期せぬ質問に会場は一瞬どよめきましたが、ほぼ全員が同じ結果となりました。つまり瞳の色が違っていても、使用しているドレープの色が違っていても診断者の判断基準が同じであれば同じになるということを実証したのではないでしょうか。ガブリエル女史も「瞳の色が違っていても見ている色は同じ。だからそれによって変わることはない」と説明がありました。
講演会直前の打ち合わせや講演会後の幹事とガブリエル女史の懇親会の席でも貴重なご意見を伺えました。
幹事からの質問とガブリエル女史の回答
質問1、「ヨーロッパを旅した時にデパートにあるコスメカウンターに行き、店員にファンデーションを選んでもらいました。店員に黄みのファンデーションを勧められたのですが、日本人が黄色人種だからでしょうか。」
回答1、「日本に来て日本人の肌色が実に様々なことに大変驚いています。日本人全てが黄色人種とは彼ら(店員)も思っていないが、知識がないから。残念ながらコスメ、ヘアーを携わる人にカラーの知識はないのです」
質問2、「パーソナルカラーがアメリカから入ってきて30年以上が経った日本では、日本人の肌色に合わせた様々なドレープが存在するが、ヨーロッパの現状はどうなのでしょうか」
回答2、「それはおかしい。私はアメリカでパーソナルカラーを学び、今でもカラーミーアシーズンのドレープを使い診断している。私の教え子たちも同じドレープ(カラーミーアシーズン)を使い診断をしているがなんの問題もない。体系化されたオリジナルのパーソナルカラーの色を変えてはいけない。」
そして一冊の本をご紹介下さいました。本の中には4シーズン別に似合う色をまとったモデルが載っていました。例えば、スプリングの赤のページには白人、黒人、黄色人種、また髪の色もブロンド、黒、茶系と様々なモデルが載っており、どのモデルもスプリングの赤と肌の色が調和されていて大変似合っていました。肌、瞳、髪の色が違う様々な人種でも同じドレープ診断できると証明されています。
研究会の課題、そして未来のパーソナルカラーの為に
パーソナルカラーが日本に上陸して30年以上が経ち、様々な協会、カラースクールが存在し、診断方法、ドレープ、ツールも様々のもが存在します。「ものさし」となるものがないことは20年前から議論されているようです。2年前にドレープの調査を試みたのですが、大きな壁にぶつかり、乗り越えることができませんでした。幹事会で議論を重ねているのですが課題を抱えたままの状態が続いていました。しかしこの講演会をきっかけ「パーソナルカラーの研究者として原点に立ち戻り、少しでも課題をクリアすべく前に進もう」とパーソナルカラーの色名の調査を始めています。本来色名から色が識別できなければならないのですが、系統すら判断に迷う色名が数多く存在します。パーソナルカラーの色が少しでも整備ができ統一ができれば、カラーの専門家が行うコンサルティングの信頼と地位向上に繋がるのではないでしょか。今後の活動によっては多くのカラーリストさんにご協力をお願い申し上げます。
最後になりましたが、沢山のかたにご参加いただき感謝を申し上げます。一般社団法人カラーライトセラピー協会様のご協力と、準備期間から通訳をしていただいたカラーリスト岡田淳子氏のご厚意に厚く御礼を申し上げます。