(一社)日本色彩学会東海支部 2021年度第1回研究会 開催報告

  • 2021年06月11日

(一社)日本色彩学会東海支部 2021年度第1回研究会 開催報告

「東海支部2021年度第1回研究会」
日時:2021年6月5日(土)10:00〜11:30
場所:オンライン開催(Zoom 利用)
参加申込:38名

演題:「若年女性の身体意識の特徴」
講師:羽成隆司 先生(椙山女学園大学文化情報学部メディア情報学科)

 本年度の第1回研究会は、前東海支部長の羽成隆司先生に講師をお願いし、オンライン(Zoom)で行われました。38名の参加申込みがあり、半数以上が他支部からの申込みでした。
 羽成先生は多くの色彩に関する論文をお持ちですが、今回は色彩とは少し離れて服装心理学の研究から、若年女性の身体意識について、これまで収集されたデータをご提示されながら異なる2つのテーマでお話しいただきました。

 第1部では、若い女性は自身の身体の魅力をどのように自己評価しているのか?という点をフォーカスし、裸体時と着装時の比較、細かい年齢差、部位による位置づけの違い、心身の健康度との関連等についてお話しいただきました。10代後半から20代前半という客観的に身体の最も美しい時期であるにも関わらず、比較対象の中高年の方が自己評定数値の高い点にデブとポッチャリの関係に似たものを感じました。私の考えるこの差とは、痩身を諦めたか否かというもので、中高年の方々の諦観者という立ち位置が逆転現象に繋がったのでは?・・・と浅はかに考えてしまいました。

 第2部では、若い女性の親しい他者に対する身体接触回避について、女性は思春期頃から家族・友人といった親しい人物に対しても微妙な接触回避を示すことがあり、男性との違いや、その生物学的な根拠の仮説についてお話しいただきました。その中で親しいとはいえ、他人である男性の友人と肉親である父親の接触回避の程度が同等という点を羽成先生ご自身が悲哀に満ちた語り口でお話しされており、娘さんの成長を喜びつつもやや高い接触回避が見られる父親の悲しい性を垣間見たのは私だけではなかったはずです。

 今回は誰にとっても身近でありながら、デリケートな内容を分かりやすくお話しいただき、ご参加いただいた方にとって、日本人らしく曖昧で情緒的な表現をさせてもらえば「感慨深い特別な研究会」になったのではないかと思います。

オンライン研究会の様子

 東海支部では、会員の専門領域以外の勉強を主な目的として研究会を年2回のペースで毎年開催しています。次回もオンラインでの開催を予定していますので、お気軽にご参加ください。最後に、本企画にご協力いただきました羽成先生に心より御礼を申し上げます。
  山縣亮介(名古屋学芸大学)