実践色彩講座2024開催と受講者募集のお知らせ

  • 2024年03月12日

実践色彩講座2024開催と受講者募集のお知らせ

日本色彩学会関西支部長          
須長正治(九州大学大学院 芸術工学研究院)

 日本色彩学会関西支部は2024年も実践色彩講座を開催します.2024年のテーマは,「組み合わせ」です.色彩はその色だけでも十分な役割を持ちますが,組み合わせることによって,さらに色彩の世界は広がっていきます.我々が多くの色彩を見ることができ,その効果の恩恵を受けることができます.このことに焦点を当て,2024年の実践色彩講座を企画しました.
 2024年3月30日(土)および4月14日(日)の2日間で開催します.
 3月30日(土)は「色彩調和」です.さらに,これにAIの体験を加えた講座としました.4月14日(日)は,色彩とクロスモーダルです.嗅覚の香り,味覚の味,聴覚の音との組み合わせを取り上げました.
 オンライン開催となりますが,当日参加できなくても,開催後,オンデマンドで視聴できるようにもいたします.講義日の数日後から約1か月間を予定しています.
 あわただしいご案内になりましたが,是非ともみなさまの受講をお待ちしております.

期 日:2024 年 3 月 30日(土),4月14日(日)<全2講座6講義>
時 間:午前/第 1 限講義(90 分,10 時 30 分 – 12 時)
       昼食・休憩(60 分,12 時 – 13 時)
    午後/第 2 限講義(90 分,13 時 -14 時 30 分)
       第 3 限講義(90 分,15 時 00 分 – 16 時 30 分)
会 場:遠隔会議システム(zoom)によるオンライン開催
定 員:50 名
受講料:全2講座6講義受講を原則とします.いずれも消費税を含みます.
     会員:11,000円 学生:5,500円 非会員:17,600円
    ※関西支部実践色彩講座に受講実績のある方は受講料を下記のとおり20%軽減します.
     会員:8,800円 学生:4,400円 非会員:14,080円

*受講料は,電子請求書を e-mail の添付でお送りしますので,決算の都合で恐縮ですが3月28日までに関西支部の口座にお振り込みください.口座情報は請求書に記載します.今回も入金をもって受講申込の受理とします.なお,お支払い時期にご都合のある場合はそのむねお知らせください.

申 込:件名を「実践色彩講座 2024 受講」とし,氏名,会員種別,連絡先(e-mail,郵便番号,住所,電話)を明記し,e-mail にてお申し込みください.また,軽減受講料対象の方は,そのむね記入しておいてください.
締 切:定員をもって締め切りますので,できるだけ早くお申し込みください.
申込先:日本色彩学会関西支部 講座受付 辻埜まで
    e-mail:tsujino@gold.ocn.ne.jp


日本色彩学会関西支部<実践色彩講座2024>

1日目:2024年3月30日(土)  「色彩調和」+AI体験

10:30-12:00 第1限講義 「生成系AIを使ってみよう」
    井下大樹 他(九州大学大学院 芸術工学府修士課程)
 Chat GPTやDALL E3など生成系AIが発表され,様々な画像をAIで生成することができるようになりました.この講義では,どのようなソフトによって,どのようなことができるのかを紹介し,実際に無料・有料ソフトを使いながら,どのようなことができるのか,一緒に体験してみたいと思います.

13:00-14:30 第2限講義 「色彩調和理論の研究動向」
    片山一郎(近畿大学生物理工学部)
 色彩感情・配色調和は,色彩の最も重要な応用分野であり,古くから様々な「色彩調和理論」が提唱されてきました.しかし,それらの大半は個人的な体験に基づく定性的な表現であり,共感できる部分はありますが,科学的な予測性を有しません.本講義では,大規模な実験に基づく色彩感情・配色調和の定量的な計算モデルを紹介するとともに,応用例について解説します.

15:00-16:30 第3限講義 「色彩調和の脳内表現」
    池田尊司 (金沢大学 子どものこころの発達研究センター)
 色彩調和という主観的な印象の成立過程を理解するうえで,脳の働きは重要な位置を占めています.本講義では,「美しさ」という感覚や印象が中枢神経系でどのように成立しているのかを研究する神経美学という研究領域の一分野として,色彩調和を捉えてみるために,まずは非侵襲的に脳内の活動を可視化する脳機能イメージング手法について概説し,脳活動のどのような側面を捉えることができているのかを知ります.続いて,関連する神経美学の先行研究の紹介と,色彩調和判断を行っているときの脳活動を計測した研究の解説を行います.

2日目:2024年4月14日(日)  「色彩とクロスモーダル」

10:30-12:00 第1限講義 「香りと色彩:知覚メカニズムの差異と心理学的な共通点」
    若田忠之(湘南工科大学 情報学部)
 本講義では,色と香りの関係について,以下のトピックを中心に紹介を行います.
・視覚(色)と嗅覚(香り)の知覚の違い:においは錯覚??
・におい,香りの分類の基礎:匂いダイアル・匂い立体
・色と香りの調和関係:心理学的な共通点
 嗅覚の知覚のメカニズムについては、視覚とは全く異なります.その一方で、印象・イメージといった観点では興味深い共通点も多々あります.両者の違いや共通点を観察しながら,是非嗅覚研究の面白さに触れてみてください.

13:00-14:30 第2限講義 「味覚と色彩:食器の色から感じる味とおいしさ」
    奥田紫乃(同志社女子大学 生活科学部)
 食品や飲料を楽しむ際に感じる「おいしさ」は,食品からの味覚だけでなく,食品や周囲の視覚情報にも影響されます.本講義では,食品を載せたプレートや飲料のカップの色に着目し,喫食時の食器の色が感じる味やおいしさに与える効果を測定した実験の結果を紹介するとともに,飲料の色と香りのマルチモーダル/クロスモーダル効果について解説します.

15:00-16:30 第3限講義「音と色彩:共感覚をめぐって」
    伊藤浩介 (新潟大学 脳研究所統合脳機能研究センター)
 共感覚とは,文字や数式や音楽に色を感じるなど,感覚刺激に対して本来の感覚とは別の感覚を自動的に感じる知覚現象です.人口の数パーセントにのみ見られる珍しい現象とされていますが,最近の研究により,潜在的に多くの人に備わる普遍的な知覚であることが分かってきました.すると,共感覚の理解は,単に少数の共感覚保持者についてだけでなく,ヒト一般の色彩感覚の理解を深めることにつながるでしょう.本講義では,ドレミファソラシに虹の七色を感じる共感覚を中心に,音と色の関係を探ります.