東海支部 令和6年度 講演会「ファッションビジネスで知っておくべき法知識」 開催報告

  • 2025年01月22日

東海支部
令和6年度 講演会「ファッションビジネスで知っておくべき法知識」

鈴木 敬明(静岡県工業技術研究所浜松工業技術支援センター)

 グローバル化やデジタル技術の発展により、誰でも自身の作品を国内・海外に発表し販売できる時代になりました。このファッション・デザインを取り巻く環境の劇的な変化にともない、作り手が留意すべき点は複雑化するとともに日々変化しています。東海支部では、経済産業省がファッションビジネスの関係者が考慮すべき法知識としてとりまとめた「ファッションローガイドブック2023」の作成に関わった先生方を講師にお招きし、経済産業省のファッション振興施策とデザイナーやファッションに関わる関係者等が知っておくべき権利や法制度に関する基礎知識について解説頂くこととしました。
 令和7年1月11日(土)、名古屋学芸大学日進キャンパスにて、経済産業省商務・サービスグループ 文化創造産業課 課長補佐 前川恭徳様、三村小松法律事務所 海老澤美幸弁護士を講師にお招きし、「ファッションビジネスで知っておくべき法知識」とのタイトルにて講習会を行いました。
 最初の講習では「これからのファッションに必要なこと」と題し、前川恭徳様から経済産業省が実施したファッション領域における取組を紹介いただきました。経済産業省が令和5年3月にとりまとめた「ファッションローガイドブック2023」の策定の経緯、また、ファッションローガイドブック2023に記載されている概要について紹介頂きました。さらに、今年度の事業である「みらいのファッション人材育成プログラム」について説明頂きました。現地参加者には、ファッションローガイドブック2023の印刷物も配付いただき、経済産業省のファッション施策についてよく理解することができました。
 二つ目の講演では、「ファッションビジネスを加速する法知識 -ファッションデザインの権利・模倣・最新トピック-」海老澤美幸弁護士から、ファッションローガイドブック2023の内容のうち、特に色彩学会の会員に関係しそうなファッションデザインの権利、模倣、保護を中心に、解説をお願いしました。弁護士としての専門的な知識に基づいて、具体的な最新の事例の紹介を織り交ぜて分かりやすく講演頂き、我々が知っておくべき法的な基礎知識について理解が進んだのではないかと思います。また、最新のトピックスとして、欧州で進んでいる「グリーンウォッシュ」に関する内容や「フリーランス新法」についても解説頂きました。参加者からは、実際の困り事や疑問に基づいた非常に具体的な疑問がいくつも質問として出て、講演時間を過ぎてしまうほど熱の帯びた会となりました。
 普段の学会活動ではあまり意識しない法的な知識ですが、実際にビジネスに結びつける際には気をつけておなくてはならない点がいくつもあることを再認識する会でした。
 今回は、全国の学会員や関係者に広く参加してもらうことを目的に、現地参加だけでなく、オンライン参加、開催後のオンデマンド配信も実施しました。その結果、54名(うち現地参加18名、オンライン参加11名)という多くの方に参加頂くことができました。
 最後に、お忙しい時期にも関わらず、講師をご快諾くださいました前川先生、海老澤先生さらにサポートくださいました経済産業省 商務・サービスグループ 文化創造産業課木村綾様に感謝申し上げます。