(一社)日本色彩学会東海支部 2020年度第1回研究会 開催報告

  • 2020年07月14日

「東海支部2020年度第1回研究会」
日時:2020年6月20日(土)13:30〜15:00
場所:オンライン開催(Cisco Webex Meetings 利用)
参加者数:83名

演題:「色嗜好の個人特性研究の可能性と限界」

講師:髙橋晋也 先生(東海学園大学心理学部)

 本年度の第1回研究会は、本学会の会長である髙橋晋也先生に講師をお願いし、オンラインでの開催という初めての試みの中で行われました。オンラインということから北は北海道から南は九州までと日本全国から85名の参加申込みがあり、当日も83名という高い参加率でした。

 ご講演では導入部分で色嗜好についてのご説明をいただき、その中でも色嗜好の個人特性研究は時代を超えた人気テーマであり、その個人特性の新たな切り口として、プレザントネス(積極的な快適性)とコンフォタブルネス(消極的な快適性)をキーワードに挙げ、基本的な12色に対する嗜好と個人のプレザントネス志向性及びコンフォタブルネス志向性との相関研究についてお話いただきました。色嗜好を客観的に評価する奥深さや難しさを専門分野でない私でも理解できるような噛み砕いたお話の仕方がとても印象的でした。また、実験結果から統一的な見解が得られなかったとご謙遜されながらも、実験心理学者魂も垣間見ることが出来ました。

 私個人としてはファッションを専門としていることから、心的要因(2011年の震災以降)で色嗜好が変化し、黒の嗜好率が低下している点や、極端な無彩色嗜好(全体の5%)についてのお話がとても新鮮でした。ファッションデザイナーにおける黒は個を表現する最も重要な色のひとつであるため、嗜好率が落ちるとは考えも及びませんでした。また、極端な無彩色嗜好に属しているのは、いわゆるモード系といわれる層のような気がしますが、いかがでしょうか?

 ユーモアに溢れたご講演はあっという間に時間が過ぎ、多くの質問が飛び交った質疑応答も30分以上行われ、とても活気のある研究会でした。
 東海支部では、会員の専門領域以外の勉強を主な目的として研究会を年2回のペースで毎年開催しています。次回もオンラインでの開催を予定していますので、お気軽にご参加ください。

オンライン研究会の様子

 最後に、初めてのオンライン研究会を開催するにあたり、髙橋先生をはじめ、進行を円滑に行えるように手配してくださったり、何度もリハーサルを行っていただいたりした支部役員の方々に心より御礼を申し上げます。
   山縣亮介(名古屋学芸大学)