第17回東海ヤングセミナー 開催報告

  • 2022年03月31日

第17回東海ヤングセミナー 開催報告
日時:2022年3月12日 (土) 13:00~14:00
参加者数:
Zoomによるオンライン開催

 2022年3月12日 (土) 13時より、第17回東海ヤングセミナーがZoomで開催されました。20名程度が参加し、発表は3件、1件あたり発表12分、質疑応答3分の合計15分で進められました。

 最初の発表は、椙山女学園大学生活科学部岡田弥子さんの「2色配色の面積比が色彩調和に及ぼす影響」でした。この研究の特徴は、実際のトップスとボトムスの面積比率を考慮して評価試料を工夫し、評価させた点であり、現実のファッションコーディネートやネットショッピングでの商品閲覧にも応用できると思われます。結果として、面積比率が色彩調和に及ぼす影響は小さいとのことでしたが、ムーン・スペンサーの色彩調和論を参照しながら、評価者がもつ現代の色彩感覚に着目した考察は興味深く感じました。

 2番目の発表は、椙山女学園大学大学院生活科学研究科青木朱音さんの「マスクの色彩と服装色との関係」でした。2022年3月の段階では、マスクの着用義務が緩和された国もありましたが、日本は公共の場所等でのマスクの着用が推奨されており、時勢をとらえた研究との印象をもちました。ところが、青木さんのご発表では、コロナウイルス感染症流行以前からマスクを題材とした研究を行ってこられた経緯が紹介され、早期からマスクが一つのファッションアイテムと考えられていたことを改めて認識させられました。今回の発表では、マスクと服装の色の組み合わせを操作して、評価者に年齢や性格を評価させていましたが、評価と現実の年齢・性格との差異や質疑応答で提案されたようなモデルのバリエーションなど、今後の展開が期待される研究報告でした。

 最後の発表は、愛知工業大学経営情報科学研究科佐藤友哉さんの「ダマスカス包丁模様評価のための測色方法の検討」でした。「ダマスカス包丁」は耳慣れないアイテムでしたが、金属の組み合わせによって生じる細かな模様の美しさは、日本刀の刃文にも共通するところがあると感じました。ご発表は、このダマスカス包丁の模様の細かさと、現行の測色計の測定範囲の大きさとが合致せず、ダマスカス包丁の特徴を捉えることが困難であるとの問題提起を発端とした研究でした。測色計の測定面に装着するアタッチメントを自作され、その効果を検証した結果から、自作器の材質や加工精度などの改善点を見出されました。今後はその改良法でダマスカス包丁の特徴の把握に成功され、幅広い活用が予測される展望のあるご研究でした。

 いずれも従来理論のアップデートを示唆した考察や、時勢を先取りした連続的研究、計測器・計測方法の新提案といったヤングの感性が光るご発表でした。

  岡田さんの発表の様子    青木さんの発表の様子     佐藤さんの発表の様子