東海支部 令和6年度 見学会「ホーユーヘアカラーミュージアム見学」

  • 2024年07月04日

 令和6年6月15日(土)、愛知県名古屋市にある「ホーユーヘアカラーミュージアム」にて、2024年度見学会が開催され、17名が参加しました。落ち着いた街並みに溶け込むような色彩でありながら、外壁の多数の空洞や曲線が印象的なこの施設は、株式会社ホーユーが創立100周年の記念事業の一環として開館しました。
 説明の冒頭で、施設の外観の色彩は、周りの景観に配慮して決められたこと、外壁の独特なデザインは髪の毛が風になびく様子を表していることを教えていただきました。
 その後、2階の「日本のヘアカラー史エリア」からご解説いただきました。ここではヘアカラーの歴史が4つのゾーンに分けて説明されています。1つ目のゾーンでは、古代エジプトやギリシャでも、魔除けとしてヘナを使用して髪の毛や身体を染めていたことが紹介されていました。また、白髪は老いの象徴であり、これを黒くする方法が日本最古の医学書にも載っていたという説明に驚きました。2つ目のゾーンは化学の黒の時代と称され、染毛剤は当初、6~8時間もかけて染めていた事を知りました。同時に、そこまで長時間かけてでも、髪色を理想に近づけたいという人々の思いも知ることができました。さらに3つ目のゾーンでは、それまで黒く染める染毛剤であったものが、ブリーチ後に色を入れるというカラーの時代として紹介され、4つ目のゾーンは多様性の時代と称して、ヘアカラーが自己表現の一部として受け入れられていることが紹介されていました。
 これらの流れをご説明いただき、白髪を黒くする、髪色を変えるという行為は同じであっても、髪色に対する価値観は時代とともに大きく変化していることが分かりました。そしてさらに、多様性の時代の後にはどんな変化があるのだろう?と考えさせられました。
 2階には体験ゾーンもあり、髪の毛のキューティクルを確認できる解析機や、ヘアカラー剤で染めた髪色が再現できるシュミレーターがあり、どんな雰囲気になるのか確認できるとあって、参加者の皆様も楽しんでいる様子でした。
 さらに、自分の顔の写真を撮影すると、AIがさまざまな髪型、髪色を提案してくれるコーナもあり、ここは最も人気が高いようでした。実際にはなかなかできないだろうという奇抜なスタイルも提案されるのですが、意外といけるかも!?と盛り上がりました。
 3階にはホーユー株式会社の会社史、製品開発、安全性研究についての展示を見ることができます。ヘアカラーでは常にかぶれなどを引きおこすアレルギーが心配されますが、ここでは特に安全性について日々研究されていることが分かりました。
 さらにこの日は、企画展「ヘアカラーの明治・大正・昭和浪漫~パッケージと広告物から紐解く時代とデザイン展」の開催中で、ショーケースに入った貴重なパッケージや薬剤が入っていた瓶が並んでいました。復刻版があればぜひ購入したいと思うようなレトロで凝ったデザインのパッケージばかりで、商品のネーミングもまた面白みのあるものが多いと感じました。
 最後に、館内を丁寧にご説明いただいたホーユーヘアカラーミュージアムの皆様に感謝致します。

鷲津 かの子(名古屋学芸大学)