東海支部 第20回東海ヤングセミナー 開催報告

  • 2025年03月11日

東海支部
第20回東海ヤングセミナー

本間 洋充(東海学園大学)

 令和7年3月1日(土)、名古屋学芸大学日進キャンパスにおいて東海支部主催の第20回東海ヤングセミナーが開催され、支部会員と大学生の総勢30名が参加しました。学生からの研究報告は5題。12分の口頭プレゼンテーションと3分の質疑応答の計15分間で、色彩について4年間学び研究した成果が発表されました。
 名古屋学芸大学メディア造形学部ファッション造形学科の制野湖衣さんは「マーブル染め溶液の違いによる模様表現への影響」と題し、美術の授業等で誰もが一度は経験したことのあるマーブル染めについて報告。溶液に加える澱粉質の種類によってマーブル模様の形成にかなりの差が生じることや、こんにゃく粉が市販のマーブル糊に遜色ない鮮やかな発色をすることなどがわかりました。
 続いては同大学の藤野絢己さんと簗田綾乃さんの「廃棄される食品を利用した染色−落花生の殻と薄皮による染色性の検討−」で、落花生の外殻と薄皮による染色の可能性について検討し、殻と薄皮では染色の色調がまったく異なること、絹とナイロンに対する染色性が高いことを報告。今後は地元の生産農家や加工会社で廃棄される材料を調達する計画もあり、地域に根ざしたSDGsへのこだわりも見せました。
 3番目の報告は、椙山女学園大学生活科学部生活環境デザイン学科の加藤愛弓さんの「アクセントカラーがコーディネートイメージに及ぼす影響」。服装コーディネートの中で最も小さな面積を占めるアクセントカラーに着目し、ベースカラーのスーツ色とインナー・小物のアクセントカラーの組み合わせを変化させて官能評価を行った結果、アクセントカラーが全体の印象評価に大きく関与すること、紫色の使い方が難しいことがわかりました。
 4番目は同大学の大塚美彩稀さんで、「トップスとボトムスの丈および色彩が調和感に及ぼす影響」と題し、ブラウス丈とスカート丈の長短と色の組み合わせによる96試料の視覚評価実験の結果、全体の評価に最も影響を及ぼすのは色彩であるが「好き・嫌い」評価には丈が影響し、短い丈のトップスとロング丈スカートの組み合わせが好印象であること、「調和度」に関してはトップス丈が重要であることが報告されました。
 セミナーの最後を飾ったのは同大学の島袋紗妃さんの「ジェンダーフリー化粧品のパッケージについて」。近年のメンズコスメ市場の拡大傾向に着目し、性別に関わりなく手に取りやすい化粧品のパッケージデザインについて検討が行われ、ボトル形状と色の組み合わせ50試料の視覚官能評価の結果、購買意欲をそそる色相には性差があるが男女とも好意的評価だったのは白と灰色で、ボトル形状よりも色彩の影響が大きいことがわかりました。
 発表終了後には茶菓子をつまみながらの懇親会が行われ、実際の制作物を見ながら感想を述べあったり、質疑応答で伝えきれなかったことを確認したりと終始和やかに進行し、2時間半ほどのセミナーはあっという間に終了。支部会員は若い感性に刺激を受け、学生たちは新たな気づきを得る、双方ともに有意義な時間となりました。