美しい日本の色彩環境を創る研究会 第3回研究会報告

  • 美しい日本の色彩環境を創る研究会
  • 2020年11月30日

美しい日本の色彩環境を創る研究会  第3回研究会報告 

日時:11月15日[土]13:00〜14:00 報告:若井宏平氏

参加者数:9名(林、渡邉、大倉、川澄、下川、高松、ながなわ、若井、羽成)

「惨憺たる情景」を色彩環境になじませる 〜その経緯と考え方
 ご自身のキャリアから色彩環境に取り組むに至った経緯のお話しを皮切りに、これまでの研究会大会やACA2019などで若井さんが発表されてきた「ピンクと黄色の壁の諏訪のカラオケ屋」を中心素材として、周囲の環境になじむような色彩変換シミュレーションの試み、若井さんが現地を訪れて撮影した諏訪湖周辺の美しい風景や、それらの特長を生かした好ましい商業施設の事例を紹介していただきました。諏訪のドミナンスとして地域になじむ色彩は、青(湖、山、空)、黒・緑(樹木)、濃茶(岩・土)であり、ピンクや黄色はこれらに該当しないため不快感に繋がるという説明でした。また、美しい画像(蓼科の田園集落)とそうでない画像(都市の駅周辺)の対比から、色彩調和を説明するチャンネル説(見る側の色彩にたいする処理負担を減らすことが快適さに繋がる)が提案されました。さらに、美しい色彩環境の実現には、色彩以外の要素も重要であることが強調されました。「ピンクと黄色の壁の諏訪のカラオケ屋」の事例でも、実際に好ましい方向に変えるためには、色彩だけでなく、電線、電柱、のぼり等の除去、壁の素材の変更などが不可欠であることが実感できました。画像変換のシミュレーションのプロセスがよくわかり、具体的な事例をめぐる学習の場としてもたいへん有効な機会となりました。

 (報告後は、研究会大会の打ち合わせ、次回研究会の報告者案、次年度の活動案などについてご相談しました。)