景色通信Vol.46『朝イチで市場へ』

  • 環境色彩研究会
  • 2013年02月12日

[PDF版はここをクリックしてください]

景色通信Vol.46
『朝イチで市場へ』

大阪庶民の台所といわれる黒門市場へ、朝一番で直行した。地域の食文化は、流行や人気なんぞに左右されないし、長い歳月を経ても変わることはない。
サンフランシスコやシシリー島などを巡った時にも、たいていは市場に立ち寄って町のエキスを感じ取ることにしている。
それは早朝の時間帯のほんの数十分でもよい。小腹がふくれる程度の朝食をかねた食べ歩きの後には、心地よい市場の活気も充電できる気がするからだ。その日は休日なのに、新鮮な食材を求めて来た近所の人だけでなく、観光客の姿も多かった。私が牡蠣の浜焼きをほおばる姿につられてか、隣国から訪れているらしいカップルも後に続いた。香ばしい醤油のにおいは国境を越えて人々を引きつける。美味しそうにいただく姿とともに、食欲をおおいにそそったのだろう。
アーケードの天井を見上げれば、魚や海老の造作物がぶら下がり、商人のまち大阪らしさを発揮している。目が眩むほどの賑やかさとコテコテな色彩の共存…。日本の文字の特長は、縦にも横にも組めることだ。たくさんのモノが溢れる商店街では、集客や誘導用の広告看板は、呼び込みの声と同様に自己主張型になる。限られた期間やゾーン内であれば、買い物客は自由な表現を楽しむゆとりも大切だと思う。(加藤進久)


「天下の台所」へ買出しに行く地元の人は多い


大阪庶民の台所としての伝統や活気は健在!


魚や蟹の色味はどれも新鮮で美味しそう


ふぐ、海老、マグロの造形看板が宙を泳ぐ