景色通信Vol.55『明治村散策』
- 環境色彩研究会
- 2014年04月25日
景色通信Vol.55
『明治村散策』
犬山市の博物館明治村に、小雨が降る春の日に訪れた。
肌寒い週日の雨の村内は、人影もまばらで、ゆっくりと回ることができた。
文明開化の明治は、多くの舶来の文物と共に、西洋建築も入ってきて、江戸時代の建築景観が大きく変化していった時代であったろう。
板壁、土壁、漆喰壁などの和様の中に、西洋建築様式とともに、外装建材として、煉瓦、石や、ペイント塗装などが加わり、建築色彩の変化が始まった時代でもあったのが、明治である。
本郷喜之床や小泉八雲避暑の家とか、菊の世酒蔵などの木造日本建築の色のなかに、白い塗装の三重県庁舎、煉瓦の色が鮮やかな巡査派出所、黄色い宇治山田郵便局舎、緑の塗装による神戸山手西洋人住居や、日赤中央病院病棟など、建築外装の多彩化が見て取れる。
嬉しいのは、私が若い頃に見た、フランク・ロイド・ライトが設計した帝国ホテル中央玄関が移築されて、触れることができることである。(永田泰弘)
若い建築家たちに影響をあたえた斬新で美しい形状のライトのスタイル。
床屋の隣は駄菓子屋さん。明治の木造町家は質実剛健だ。
外套を着た巡査が出てきそうな東京駅警備の派出所。
明治初期に建築された三重県庁舎は擬洋風建物の秀作。