長谷川博士先生講演会「色彩で読み解くイタリア式スローライフ -くらしとまちづくり-」 報告
- くらしの色彩研究会
- 2016年03月15日
2016年3月13日(日) 長谷川博士先生講演会
「色彩で読み解くイタリア式スローライフ -くらしとまちづくり-」
まだ肌寒い平成28年3月13日(日)、日本福祉大学名古屋キャンパス南館5階にて、くらしの色彩研究会特別顧問の長谷川博士先生による「イタリア式スローライフくらしとまちづくり」の講演会が開催された。
ここ何年もの間、年間3ヶ月のイタリア滞在の中で撮られた膨大な量の美しい写真と共に、イタリアでの暮らしやイタリア人の郷土愛、色彩に対する関心の高さなど、大変楽しく興味深いお話を頂き、あっという間の2時間であった。
表題の「スローライフ」とは、地域の特色を最大限に活かした暮らし方。
イタリア人の郷土愛に「まちづくり」の原点及びヒントを見せていただいた。
講演会終了後は、同会場にてイタリアワインやアンティパストをセルフサービスで頂きながら、アットホームな雰囲気で質疑応答の時間を楽しんだ。
色彩学会の会員はもとより、様々な方面の方々のそれぞれの視点で頂いたご意見・ご感想も大変勉強になり、非常に有意義な時間であった。( M.Y.)
3月13日(日)、日本福祉大学にて、暮らしの色彩研究会特別顧問である長谷川博士先生による「色彩で読み解くイタリア式スローライフ くらしとまちづくり」について、講演を行った。
この8年、毎年3カ月間イタリアで生活され、各地の色彩環境をまとめられたことにより、生活を彩る色彩から見えてきたイタリア人の生活とまちづくりを紹介していただいた。
「イタリア人は家に住んでいない、街に住んでいる。」ということばがあり、わが街が大切であり、すべての発想の根源であるというイタリア人の意識が表れている。
各都市にはおのおの基調色、アクセント色、サポート色があり、街並みを美しく整えている。
例として、鎧戸の色で統一感を出す、マンホールには素材の色を活かし、こまかな幾何学模様をほどこす、マクドナルドの看板も、都市に合わせて改良している。
歴史のある街に新しい店ができることで、イメージを壊すことを避けるため、教会や役所など、古い建物の中にカフェやショップを作る。モノレールは新興住宅地では地上を走らせるが、旧市街地では地下に潜らせることにより、異時代のものを同時に目にしないなど、さまざまな工夫がなされている。
「イタリアにイタリア人はいない。ローマ人、ナポリ人、フィレンツェ人、ベネチア人である。」と言われており、郷土愛がとても強い。わが町の特徴をどう生かすか、快適に暮らせるようにトライアルしている。スローライフとは、歴史、文化を残しつつ、人間らしい快適な暮らしを楽しむ。そういったイタリア人のすがたが見えてきた。
今回の講義により、数々の美しい映像が、単なる美しい都市ではなく、イタリア人の色彩作法が作り出したものであることに気づかされた。
ぜひ一度イタリアを訪ね、イタリア式スローライフを楽しんでみたいものである。( H.K.)