2017年6月3日(土)4日(日)日本色彩学会第48回全国大会東京
- くらしの色彩研究会
- 2017年06月12日
2017年6月3日(土)4日(日)日本色彩学会第48回全国大会東京
ポスター発表報告
「香りからイメージする配色表現(Ⅲ)
香りから想起された配色によるパッケージデザインの評価」
今回は、昨年の大会で発表した「香りからイメージする配色表現」によるパッケージデザインを見た第三者が視覚的に受けるイメージについての調査結果について報告した。これは色以外の要素が入ったパッケージデザインワークに於いて、「香りからイメージする配色表現」によって香りが視覚で伝えられているかを考察したものである。調査対象のパッケージデザインは香り4種×デザイン4種の計16種あり、それら全てのパッケージに対し、被験者は各香りを嗅ぎながら香りのイメージがどの程度表現できているかを視覚アナログ尺度(VAS)を用いて評価した。結果、配色はパッケージデザインにおいてもある程度香りを伝えられることを示す結果が得られた。また、配色の使用面積やデザイン表現によりVAS数値に差が見られ、香りの伝達における配色と形やテクスチャの関係性、配色の面積と明度・彩度についても示唆が得られた。
今回の調査では、香りの感じ方の個人差が課題のひとつとして浮上したが、ポスターセッションにおいて今後の研究に役立つ様々な意見をいただき、大変有意義な時間となった。
「物理測色と肌印象視感評価から分かる肌の色特有の見え」
昨年の研究会大会にて,女性モデル25名の肌を測色すると同時に,複数の評価者によって「色白さ」や「色み(黄み-赤み)」「透明感」といった肌の見た目印象を視感で評価するという実験を実施した.物理測色値と見た目印象視感評価を比較した結果,肌の色特有の見えを確認した.高明度群・低明度群においては色相値に関わらず視感評価の結果が偏ることが多かった.例えば,見た目の「色み」評価において,低明度群は全員が赤みよりの肌であったにも関わらず,視感評価結果は黄みに偏った.一方,中明度群は色相値と相関する視感評価が多かった.例えば,「色白さ」「明るさ」「淡さ」といった色みを問わない評価項目についても色相値との相関が見られ,黄みよりの肌は「色黒」「暗い」「濃い」,赤みよりの肌では「色白」「明るく」「淡い」という評価になりやすかった.
このような高明度群と低明度群では明度に,中明度群では色相に依存し,肌の色において「黄み」と「色黒」,「赤み」と「色白」が結びついているという現象は,これまでにも報告されていたが,今回は実際のモデルの肌の視感評価についても確認できたことになる.
これらのことから肌の色を、高明度・中明度で色相が赤みより・中明度で色相が黄みより・低明度の4つのパターンに分け,それぞれの分光反射率曲線と肌印象視感評価の傾向をまとめた.
ポスターセッションでは,セッション時間を忘れるほど多くの方に聴講して頂いた.また,肌や皮膚内部構造の測定に関する専門家の方々から貴重なアドバイスや情報を頂くことができ,有意義な学会発表となった.
「背景色が肌の色の見えに及ぼす影響Ⅱ」
今大会は前大会の「背景色が肌の色の見えに及ぼす影響」で報告したパーソナルカラー診断時に使用するピンクのドレープに置いた手の色の見えの視覚効果が、他の色相ドレープ上でも観察できるのかを検証した。肌の色より類似から補色色相であるブラウン、イエロー、グリーン、ブルーの4色相について「黄み」、「青み」を感じる各2色を背景色として手の色の見えを報告した。さらに色票での見えや、低明度の背景色で見られる明度対比による肌独特の見えについても報告した。
来場者からの実験方法やドレープ選定に関する質問や意見は研究、報告の仕方において参考になった。
発表後は、東京都庁40階の都心を一望するレストランで開催された懇親会に参加した。
赤く燃える夕日や煌めく夜景と共に、先生方との会話を楽しむ充実した時間を過ごした。