景色通信Vol.72『シンガポールまち歩記(あるき)』

  • 環境色彩研究会
  • 2018年05月29日

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景色通信Vol.72
『シンガポールまち歩記(あるき)』

30年ぶり、2度目のシンガポール。行きたい所だけ巡る、見たくなったらバスを降りてでも見る、といった完全フリーのまち歩きを実施。東南アジアで最も国際的発展を遂げている多民族国家の色彩的側面が見られたらと期待してのスタートだ。◇マーライオンにあっけなく取って代わったランドマーク、2010年開業のマリーナベイサンズ(MBS)をくまなく見てみたい。というのが旅の目的の一つ。そしてもう一か所MBSと真逆のカトン地区訪問はプラナカン文化を知りたいという二極の興味で始まった。時にド観光客、時に在住市民に混じって衣食住を体験した。個人歩きの掟は極力公共交通を使う事。ここからむきだしの国民性や文化度、来訪者にどれだけ優しいかの国際性も見えてくる。数え切れない程の配色パターンのMBSライトアップは毎夜2回15分ずつ見られる。地元民も自慢で訪れる愛される場所だ。MBS屋上からのマリーナ湾が暮れなずむ様は静かな息遣い。◇待望のカトン地区はその昔、中国からの移民で財を成した成功者がマレー人と結婚し築いたプラナカン文化と呼ばれる独特な文化が残り、カラフルかつ繊細な住宅や手工芸品が残る地区だ。これら市内の移動は5本の地下鉄が機能的に走り来訪者でも乗りこなせる。色彩の効果は見えやすく分かり易く、車両内外、通路、ホーム、サイン等すべてに駆使されている。何より人の親切さも日本を上回る点は見習うべきだと感じた、春節前のシンガポールまち歩きだった。(山川やえ子)


天界で泳いだ至福の時はいつまでも心に残りそう


湾へ入る門のライトアップに思わず息をのんでしまう


交通システム全体のデザイン設計は外国人にも解りやすい


新しさを積極的にミックスしていくのがプラナカン流