2018年6月2日(土)3日(日)日本色彩学会第49回全国大会大阪
- くらしの色彩研究会
- 2018年06月05日
2018年6月2日(土)3日(日)日本色彩学会第49回全国大会大阪
ポスター発表報告
「NCS色空間におけるファッションを想定した配色調和の分析」
2015、2016年の日本色彩学会においてパーソナルカラー4シーズンの各色をNCS色空間に分布し、その特徴を報告した。結果c>05の有彩色は、NCS色相環上の緑と赤を境にした黄色側か青色側のどちらに属するか、明清色、暗清色、中間色のどこに属するかの2点によって、フォーシーズンに分類されていると論じた。今回はこの分類に基づき、ファッションを想定した配色調和と嗜好を考察するため、属性を明確にした3色配色を同グループ内で構成した時とグループを混合した時とで、調和感,嗜好に差があるかを検討した。結果、調和していると選択された配色は、黄色側(イエロービュ)、青色側(ブルービュー)のどちらかの属性で構成されていた。ニュアンス領域を分析したところ、イエロービューで構成された配色の領域の場合は、清色領域内、濁色領域内で構成された配色を調和している配色として選択した。一方、ブルービューで構成された配色の領域の場合、清色領域と濁色領域の色が混在している配色も調和していると選択されていた。
また、調和と嗜好の調査結果から、調和より嗜好と評価された配色は、W20.W10の領域で変化を求める傾向が強いことが示唆された。本調査結果より、ファッションを想定した配色における調和は,統一感が、嗜好においては変化を求める傾向が強いことが示唆された。今後は実際のファッションにおける配色の面積比を考慮して検討したい。
ポスター発表会場にて頂いた質問や感想は、検証の条件や検証結果の活かし方について大変参考になり今後の研究に役立てていきたい。(丸山)
「背景色が肌の見えに及ぼす影響Ⅲ」
昨年の大会において反射光の影響を除いた条件で背景色に置いた肌(手)の見えは一般的な視覚効果と同じであること、明度対比によって明るく見える肌は赤みよりに見えることを報告した。今大会では現実的な髪の色に比較的近いウイッグを背景色とし、8名の異なる肌タイプのモデルの肌(顔)の見えについて色相対比、明度対比、彩度対比の観察を行った。色相対比が観察できたのは半数程度であったが、8名のモデル全てで背景色と顔に明度対比が確認できた。さらに明度対比により肌が明るく見える場合には肌が赤みよりに見える変化を示した。このことは前回同様に肌は視覚的に明るく見える場合でも赤みよりに見えることが示され、肌独特の見えが再検証された。またこの明度対比はパーソナルカラー診断で黒のドレープを当てた時にクライアントの肌に陰が見える現象と異なる。その要因としてパーソナルカラー診断では反射の影響及びクライアントの肌の質感が複雑に影響しているということも示唆した。さらにウイッグの色の違いにより、肌の質感(ツヤ感や透明感,くすみ等)、またほうれい線の目立ちやすさ、フェイスラインの変化が大きく異なって見えることも併せて報告した。
ポスター発表会場で頂いた質問や感想は研究方法や検証結果の活かし方などにおいて参考になった。(早川)