2019年3月16日(土)2018年度研究発表会ならびに研究会総会開催のお知らせ
- 画像色彩研究会
- 2019年03月07日
日本色彩学会 画像色彩研究会
2018年度研究発表会ならびに研究会総会開催のお知らせ
主査 鈴木卓治(国立歴史民俗博物館)
下記のとおり研究発表会ならびに研究会総会を開催します。ぜひご参加ください。
日時:2019年3月16日(土)
研究発表会:13:00~16:15 研究会総会:16:30~17:00
終了後懇親会を催します(17:30~19:30)。
場所:国立新美術館3階研修室C(東京都港区六本木7-22-2)
会費:無料。
参加申し込み:下記問合せ先までお願いいたします。懇親会参加の有無も合わせてお
知らせください。
問合せ先:画像色彩研究会 担当幹事 望月宏祐
Email:sigci-event2018@sigci.sakura.ne.jp FAX: 0268-39-0002(長野大学望月宏祐宛)
●研究発表セッションI(13:00~14:30)
発表1 13:00~13:30
RGBカラー画像からのファンデーション塗布の判定のための一手法
○古田なつみ,望月宏祐,田中法博(長野大学)
本論文では、RGBカラーカメラで撮影した肌の画像からファンデーションの
塗布の有無を判定するための一手法を提案する。RGBカラーカメラで撮影し
た人の肌の画像から分光反射率を推定し、その推定した分光反射率の形状から
ファンデーションの塗布状態を推定する。本研究では、まず、分光高度計を用
いて20代を中心に18歳から48歳までの男女の741個の肌の分光反射率デー
タを計測した。この計測データには素肌だけでなく、ファンデーションを塗布
したものも含まれている。その多数の分光反射率の特性をAutoEncoderや主
成分分析で分析し、その分析結果をもとに分光反射率を分類し、その分類結果
とRGBデータを対応させてファンデーションの塗布状態を推定する。実験で
は、素肌、薄く、中間、濃くの4段階でファンデーションを塗布した肌を2名
の被験者に対して計測し、その違いがどのように推定できるか調べた。この結
果、素肌とファンデーション塗布後の違いは2つの数値情報でできることがわ
かった。
発表2 13:30~14:00
VR空間内での肌診断システムの検討
○福井麻友,山田絵理香,望月宏祐,田中法博(長野大学)
本論文では、隔地にいる対象の肌の状態を調べるために使用できるVR空間内
で肌診断システムの実現可能性についての検討を行った。肌の状態を色彩科学
的な視点で調べるためには没入空間で自由に照明環境を設定し、それを3次元
的に鑑賞できるVR技術は有効である。このとき肌の状態を様々な角度から肌
の状態を観察するためには、人の顔を画像情報と共に3次元形状を計測する必
要がある。しかしながら、人の場合には動いてしまうためにリアルタイムに肌
の形状を計測しなければならないという課題がある。そこで、本研究では、
Intel RealSense を用いてリアルタイムに人のRGBデータと形状データを計測
しながらVR空間で人を3次元的に再現する手法を提案する。この結果、リア
ルタイムに人の肌の状態をVR空間で3次元的に鑑賞できることがわかった。
発表3 14:00~14:30
アゲハチョウ科の配色傾向解明にむけた分析手法の検討
○梯絵利奈、村松慶一、日比野治雄(千葉大学大学院)
筆者らはこれまで、蝶の色彩美に焦点を当て、美麗種の多いアゲハチョウ科の配
色傾向を調査してきた。このための主な手法として、蝶画像を色の類似度で分類
し、各クラスターの色彩分布を示すグラフの観察や、ガウス混合モデル(
Gaussian Mixture Model: GMM)を用いた統計処理などによって配色傾向を分析
した(梯ら, 2018; Kakehashi et al. 2018)。これらの取り組みによって得られ
たアゲハチョウ科の主な配色法則は1) 明度コントラスト、2) 類似彩度、3) 類
似色相であった。これらの結果はOu and Luo (2006)の実験的色彩調和論をはじ
めとした先行研究の結果の一部と一致していた。
●研究発表セッションII(14:45~15:45)
発表4 14:45~15:15
古文書と計測情報に基づいた小諸城の3DCG復元
○高寺恵司,望月宏祐,田中法博(長野大学)
本稿では、小諸城をデジタルアーカイブするため大型の建造物を史実に基づいて
3DCG復元する手法を提案する。特に小諸城の中で大型の建造物である本丸と二
の丸を主な対象として内部構造を含め復元をする。本丸は戦国時代の武将である
仙石秀久により築かれた建造物である。二の丸は「第二次上田合戦」の際に徳川
秀忠が本陣とした場所であり、歴史的に重要な建造物である。しかし、現在これ
らの建造物は全て取り壊されており、石垣のみが残されている状態である。その
ため本研究では小諸城に関する110点以上に及ぶ古文書に書き示されている情報
を基に復元を試みる。古文書の中には建造物の内部構造に関する情報も含まれて
いる。また現在の城跡の地形計測情報を統合して1700年代の建造物を3DCG復元す
る。
発表5 15:15~15:45
適応型階段関数系による展開を用いた絵画画像の色変化ベクトルによる特徴分析
の予備的試行
○室屋泰三(国立新美術館)
絵画画像をはじめとする色彩画像の色変化について、画面上のさまざまなスケー
ルについての平均色差に由来した計量方法により、絵画画像の色変化の特徴につ
いて分析を試みてきた。特に完全正規直交系を用いることにより、色変化を計量
するにあたり、画面上の大きさについて重複することなく、かつ、取りこぼすこ
とがないような方法を構成した。さらに、使用する基底として画面上の色変化に
適応した階段関数系を定義することにより、色変化の特徴をより明確に捉えられ
る方法を提案してきた。これまでは明暗や彩度、a*値、b*値といった色成分ごと
に階段関数系により展開した係数のパワースペクトルや統計量から特徴をとらえ
ようとしてきたが、本発表では、展開係数の成すベクトルから画面上の色変化の
特徴分析を試みる。例えば、画面上隣接する展開係数ベクトルの内積から「直交
する色変化」や「色差空間上で類似の色変化」というような関係を見出すことが
可能であり、このような関係から画面上の色の配置(隣接関係)を保存した分析
方法を構成することができる。これまでに分析を試みてきたモネ、ゴッホ等80点
の絵画作品について、提案方法による分析を行い、絵画画像における、作家の
「個性」を計量的にとらえることができるのか、試行する。
●総合討論(15:45~16:15)
●研究会総会(16:30~17:00)