関西支部からのお知らせ
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2017年2月17日(金) 講演会「言語と色名」と総会のご案内<4月8日開催>
年一度の関西支部総会を行います。総会の前に、講演会としてシンポジウム形式で、3人の講師による「日本・中国・韓国の色彩と色名―その現状を探る」を開催します。
アメリカの文化人類学者Brent Berlin と言語学者のPaul Key は、1969年発行のBasic Color Terms: Their Universality and Evolution (Berkeley: University of California Press)で、人間の言語には基本的な色彩語が存在し、基本色名には普遍性や共通の進化過程が見られることを指摘しました。確かにすべての人間には、共通の特性があり、色彩に関しても民族や地域における「違い」よりも「共通性」のほうが多いと言えます。しかし、人間には多様性が見られ、個性を形成する色々な相違が存在することも事実です。日本、中国、韓国には、気候、風土、歴史に微妙な違いが見られることから、色彩や色名にも微妙な相違が見られます。つまり、色名には普遍性と同時に、特殊性も見られます。
本シンポジウムでは、Berlin and Keyの主張の良い点と修正すべき点について考え、日本・中国・韓国の色彩と色名に見られる普遍性と特殊性について考察します。
なお、関西支部総会に引き続きカラーデザイン研究会総会も開催の予定です。
ご参加いただけますと幸いです。 関西支部長 吉村 耕治
日時:2017(平成29)年4月8日(土)(受付:午後2時〜)
講演会:「日本・中国・韓国の色彩と色名―その現状を探る」(午後2時20分〜4時半)
司会・講師 吉村耕治支部長(関西外国語大学短期大学部名誉教授・関西大学非常勤講師)
講師 伊伏啓子氏(北陸大学専任講師)
講師 李 春子氏(神戸女子大学非常勤講師)
総会:2017(平成29)年度関西支部総会・カラーデザイン研究会総会(午後4時半〜5時)
会場:関西大学(千里山キャンパス)100周年記念会館、第1会議室
(住所:〒564-8680 大阪府吹田市山手町3丁目3番35号)
〔講演要旨〕
1.日本語の色名と色彩語―その特徴を中心に 吉村耕治支部長
Berlin and Key のBasic Color Termsの日本語訳が、2016年5月に出版されました。その「訳者解説」では、本書が「人間は各自好きなように色を見て名前をつけるという説を根底から覆した」(p. 253)と述べていますが、少々誤解が見られます。本書は、現代言語学の父と評される言語学・認知科学者、Noam Chomskyが提唱した普遍文法の影響を受けて出版されたもので、時代の影響を強く受けています。古代日本語の基本色名(白・黒・赤・青)や陰陽五行説の五色とともに、日本の美意識を支える色彩の特徴を考察します。
2.中国と台湾の色名と色彩語 伊伏啓子氏
中国と台湾における色を表す言葉について、その名称と表す色を提示し、地域固有の言葉と西洋から流入した言葉を分類する。また、地域固有の言葉は何が土台となっているのか、その文化的背景の考察も試みる。さらに、色によってイメージされる感情について、先行研究を整理するとともに、慣用句や色名の使われ方を検討し、考察する。以上の点について、それぞれ日本語と対照しながらお話しする予定である。
3.韓国の伝統色彩について 李 春子氏
韓国の伝統色彩を朝鮮王朝における「陰陽五行説」を基盤とする「五方色」(青、赤、黄、白、黒)を中心に探りたい。朝鮮王朝前期の色彩は、「顔料の生産」と儒教を国教と定めることによって特定の色(赤色と黄色)が禁じられる。しかし、色彩の転換期・朝鮮王朝の後期になると「赤色と緑色」が定着されて、建築、飲食文化、婚礼服等に大きく影響した。特に、相性の色の配合によって象徴される「色の力」は、人間社会の平穏や幸福をもたらせるとした。韓国の伝統色彩の変容と継承について述べたい。
参加費: 会員2,000円,学生・院生1,000円,非会員3,000円
申込:参加希望者は、当日参加も可能ですが、あらかじめe-mailにて、件名を「関西支部講演会・総会参加」とし、参加者名、会員あるいは非会員を明記のうえお申込みください。
日本色彩学会関西支部(辻埜)
e−mail:tsujino@gold.ocn.ne.jp
〒541-0048 大阪市中央区瓦町4-3-14-1002
Tel. 06-6231-4071 Fax. 06-6231-4073