景色通信Vol.40『ポトマック河畔の桜』

  • 環境色彩研究会
  • 2012年06月06日

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景色通信Vol.40
『ポトマック河畔の桜』

ワシントンDCのポトマック河畔の桜の花ではなく樹を見る機会が訪れた。
2012年は、東京市の名でワシントンに約3,000本の桜が贈られて100周年にあたり、この桜は1912年に、東京府江北村(現在の足立区と埼玉県の一部)の荒川五色桜78種から選ばれた11種の桜が挿し穂(木)として選ばれたものである。
染井吉野、有明、普賢象、福禄寿、御衣黄、一葉、上匂、関山、御車返、白雪、駿河台匂の11種である。
DCのポトマック河畔の桜の開花日は、4月6日から25日とされているが、今年は暖かく一月位早く満開になり、私たちが到着した4月14日には花が終わっているという不本意な状態となっていた。
そもそも、ポトマックに行ったのは日米桜交流100周年記念のイベントの一つに足立区と荒川河畔のコーラスグループを組織して市民交流コンサートを、ワシントンの桜まつりの舞台とニューヨークのカーネギーホールで公演することになり、私の妻がコーラスをバックに日本舞踊を披露するというプログラムが組まれたために随行した次第である。
ポトマック河畔に1912年3月27日にタフト大統領夫人により最初に、植樹された染井吉野が衰えながらまだ樹勢を保っているのを確認した。
此処の桜と日本の桜を比べると、風土と気候の差によるものか、100年という歳月によるものか、姿かたちが違い、樹皮の風合いも異なっていることが感じられた。
老木は高い大木になり、若木は空に向かって形よく枝を伸ばし、根元は芝生をくりぬいて腐葉土を盛り上げた手入れが至る所で見受けられた。桜がアメリカの地でも土着し、愛されていることを感じた。(永田泰弘)

参考文献:「日米友好のシンボル ポトマックの桜 100周年を迎える名勝」
石田三雄著 近代日本の創造史懇話会刊 別冊2011


青空に映える白色のワシントン記念塔と桜


ポトマック河畔の遊歩道と桜並木


ところ変われば姿も変わる桜の樹形