くらしの色彩研究会 おもてなし企画浴衣でいりゃあせ 報告
- くらしの色彩研究会
- 2016年06月07日
くらしの色彩研究会 おもてなし企画浴衣でいりゃあせ 報告
2016年6月4日、くらしの色彩研究会は、名城大学で行われた日本色彩学会全国大会の交流会イベントとして、「浴衣でいりゃあせ」を開催した。熱田神宮の夏祭りの時期でもあり、特別講演のテーマ「蛍」に因み、皆で浴衣を着て蛍を鑑賞しようという「おもてなし企画」として準備が進められた。遠方からの参加者の為に、浴衣の貸出を考え会員に募ったところ、美しい浴衣や帯、下駄が多数集まった。
着替え室「いりゃあせ」はお昼の休憩時間に開場した。入口に設えた若紫色の暖簾が、モノトーンの学内に美しいアクセントを添える。交流会の参加者に浴衣持参を呼びかけ、着付けは平野、福井、清水が担当した。希望者には、浴衣が貸出された。海外からの参加者には無料貸出、さらに手製のあずま袋も贈られ、国際的な交流に貢献した。着替えが済むと、学内はいっぺんに華やかになった。蛍の講演を聴く浴衣姿の女性がひときわ目をひいた。
夕方、八事山興正寺に会場を移し、交流会が始まった。木々に囲まれた静かなお寺は、緑が滴るほどに美しい。男性の浴衣のかすり模様や作務衣の冴えた藍色が、涼しげで新鮮に映った。浴衣は、男女あわせて三十数名、交流会参加者の約3分の1にあたる。暗くなるのを待って庭に出た。曇り空に時折の霧雨、蛍の活動に良い条件が整った。水辺の草むらで、飛び始めた蛍たち。緑の光がゆらゆら光る。手のひらにのったり、髪にとまったり。浴衣の袖の中に飛び込んだ蛍は、木綿の生地越しに、ぼんぼりのようなまるい光を灯した。暗がりの中で誰もが童心にかえり、蛍を追って楽しんだ。遥かな記憶を辿るような、日本の原風景を見るようなひと時であった。こんな学会は初めてである。心に残る夏のひと時となった。