景色通信Vol.16『墨田川は観光総代になるか』

  • 環境色彩研究会
  • 2009年06月04日

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景色通信Vol.16
『墨田川は観光総代になるか』

石原東京都知事の「隅田川を観光総代に」という発言が朝日新聞に載った日の三日前、娘と孫と三世代で、両国から水上バスに乗ってお台場まで隅田川下りを楽しんできた。東京のリバーフロントの景観が、東京暮し50年、30年、10年の目にその変貌も加えて興味深く映った一時間であった。
水上からの目線で観る両岸の風景は、空の広がりと明確なスカイラインをもつきらびやかな都市景観が連なり見飽きることがなかった。河川敷をもたず、カミソリ堤防の受けのように狭い護岸の遊歩道が続く両岸であるが、整備が行き届いて要所要所に植栽が施されて、「きれいになったなぁ」という感慨が残る状況であった。水上から眺める新旧のビルの連なりはそれぞれ個性があったり、統一感があったりと、景観を考える際にはよい教材を提供してくれているようである。東京都景観色彩ガイドラインで、両岸50m幅の陸上部分が隅田川景観基本軸に指定されて厳しく色彩制限がされている理由が、水上からの眺めにより納得できる。更に上流からも隅田川を辿る水上バスが運行しているので、景観の色彩を考えながら、観光総代になれるかどうかを楽しんでみては如何ですか?(永田泰弘)


護岸の緑化


厚みのある緑化


浅草橋


佃の高層住宅