景色通信Vol.25『岐阜・河原町』

  • 環境色彩研究会
  • 2010年05月24日

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景色通信Vol.25
『岐阜・河原町』

2010年の日本色彩学会全国大会は、岐阜市の長良川国際会議場で開催され、東海支部の人達の努力が随所にみえる素晴らしい大会であった。
そのプレイベントの「歴史町並み散策ツアー」で案内された河原町の景観が印象に残ったので、翌日、全国大会開始の前に再度訪れて楽しんできた。
河原町は、金華山上にそびえる復元された岐阜城の下、長良川に接した城下町の家並みが戦災を免れて残され、さらに電線の地中化や、道路の舗装等で、観光客も訪れる古い日本の町並みの文化が感じられる町になっている。
通りの幅はさほど広くはないが、車道と歩道を同じ平面にして、舗装材と淡茶と灰色の色の差だけで分けており、その色使いも和風で、かつ明るいうえに、感心したことは「ゆっくり走ろう河原町」という木製に手書き風文字をくみあわせた徐行のサインがさりげなく置いてあり、車は通行人を意識してゆっくり走っている景色が演出されていることであった。また、エアコンの室外機の周りは格子を組んで目立たなくする配慮があったり、軒下には、河原町の文字が入った涼しげな提灯がつるされて一層、和の雰囲気を醸し出すしつらえがされている。千三百年の伝統ある鵜飼いの乗船場をもつ町の舞台装置としても大きな役割を果たしている景色である。(永田泰弘)


涼を呼ぶ軒下の提灯


エアコンの室外機も格子で囲うしつらえに感心


歩行者と車の共生、地域の景観に似合うサイン