景色通信Vol.34『市民マラソンと景観』

  • 環境色彩研究会
  • 2011年12月26日

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景色通信Vol.34
『市民マラソンと景観』

全行程を42.195kmの旅にたとえさせていただくとしよう。ここ奈良大会のように、スタートの数日前にマラソンの開催地に入る人たちも多いだろう。大会のコースは、風光明媚な地域ばかりを疾走するわけではない。開催期間中の自治体や沿道で応援する市民たちは、来街ランナーを迎えるため美意識が高くなるのが普通だ。トップランナーであれば、レースに勝つことに集中するのは当然だが、完走を目的にマイペースで走るランナーも数多く参加する。彼らは給水所の人々のホスピタリティーを感じながら、そのまちの景観も楽しみながら走り抜けていくのだ。テレビ中継があれば、離れたお茶の間でレース観戦しながら、まちの景観を堪能することもできるだろう。
もし、ゆっくりでも調子よく走りきることができるのなら、是非マラソン大会に参加をして、普段では見られない車道から、まちの景色を見ながら走ることをお勧めしたい。きっと新たな発見があることだろう。
外国を旅行中に朝の散歩をしていると、ジョギングをする人と次々にすれ違うことが多い。人間は歩き動くことで健康を維持することができるはずだ。気持ちのよい景色の中で思い思いのコースを描き、心身のリズムと呼吸を整えながら第一歩を踏み出す。そして自分のペースで走り続けることは、何ものにも代えがたい心地のよい時間なのだ。(加藤進久)


心身健全をキープすることは意外とむずかしい


マラソンの季節は紅葉のシーズンでもある


遠方から駆けつける来街ランナーも多い


景色を新鮮に感じながら目抜き通りを走り抜ける