2015年3月1日(日) 2014年度研究発表会ならびに研究会総会開催のお知らせ

  • 画像色彩研究会
  • 2015年02月20日

《PDFファイルによるご案内はこちら》

2014年度研究発表会ならびに研究会総会開催のお知らせ

主査 鈴木卓治

下記のとおり研究発表会ならびに研究会総会を開催します。ぜひご参加ください。

日時:2015年3月1日(日) 研究発表会:13:00~16:00 研究会総会:16:00~17:00
終了後懇親会を催します(17:30~19:30)
場所:国立新美術館3階研修室A(東京都港区六本木7-22-2)
会費:資料代として1,000円をいただきます.
参加申し込み:下記問合せ先までお願いいたします。懇親会参加の有無も合わせてお知らせください。
問合せ先:画像色彩研究会 鈴木卓治宛 Email:sigci-event@sigci.sakura.ne.jp FAX:043-486-4229

プログラム:
●一般セッション(13:00~13:50) 座長:鈴木卓治(国立歴史民俗博物館)
1) 建造物のデジタルアーカイブの一手法
櫻井千寛,田中法博,望月宏祐,瀧澤結貴,山本遼太郎(長野大学)
実際の建造物をデジタルアーカイブしたうえで,その中を自由に歩き回れるようなシステムを開発する.建物の形状計測はレーザ距離計を用いて実測し3次元的な情報として構築する.内装や外装のテクスチャ情報は画像計測に基づいて行う.建造物や内部の備品などのデータ量を削減するために計測データから最小限の形状データとテクスチャ情報を獲得し,そこからコンピュータグラフィックス(CG) 化する手法を提案する.最終的には長野大学キャンパスをCG再現し,リアルタイムで動き回れるようにする.

2) 人の肌のCG再現のためのシーン照明計測に関する一手法
祢津明澄,田中法博,望月宏祐(長野大学)
分光的な光反射モデルと分光的なImage Based Lighting (IBL)に基づいて,実シーン照明下で見える人の肌をコンピュータグラフィックス(CG)再現する手法を提案する.まず人の肌の反射特性を反射モデルで記述する.そして,その反射モデルに基づいた肌の反
射特性の計測手法を述べた上で,そこから実際の人間の肌の反射特性を定量化する.つぎに肌をCG再現するためのシーン照明を計測する手法について述べる.本研究の結果は,肌の反射特性の推定結果,分光分布の推定結果等をグラフで示すとともに推定した光源情報を用いた人の顔のCG再現結果として示す.

●企画セッション「芸術作品の色彩」(13:55~15:25) 座長:鈴木卓治(国立歴史民俗博物館)
3) 気づきをひらく美術鑑賞~画像色彩研究会アートセミナーのワークシートに基づく対話から
粟野由美(東京造形大学)
画像色彩研究会で年に3回開催しているアートセミナーは、ガイダンスと展覧会鑑賞と座談会をセットにして、作品の“見えるもの”を味わう、作品の“見えないもの”(文脈や余白など)を読み取る、“展示”を鑑賞する(展覧会企画者、展示構成者の意図を読む)、といった視座を提供し、「見ること」による気づきを開く試みである。今年度はそのうち2回についてワークシートに問いかけを示し、鑑賞しながら自答したことを座談会で語り合うかたちで実施した。軸を共有して語り合う「感想」は、鑑賞者の専門知識や関心点によって踏みこんだ多様性をもって開陳され、アクティブ・ラーニングの場を創出した。この成果を題材に、展覧会をラーニング・コモンズとして活用する鑑賞教育の効果を考察する。

4) 色彩分析ツールで作る絵画鑑賞のためのワークシート
室屋泰三(国立新美術館)
画像色彩を計量的に分析する手法の研究において、最も重要なことは対象、すなわち絵画作品を見失わないことである。分析手法の意味付けを数学的原理だけによって考えてはならず、対象とする作品と時に向き合いながら、その意味を考える必要がある。
本発表では、計量的な画像色彩の分析手法を通して実際の展覧会で展示されている作品を鑑賞する(もしくは鑑賞の手助けとする)ことを試みるため、2014年11月、国立新美術館で開催されていたチューリヒ美術館展にあわせて実施した画像色彩研究会アートツアーでの「ワークシート」の作成と成果について紹介する。

5)数学的アプローチから「画家との対話」を引き出す~ワークショップ『ひみつのレシピ』からうまれた表現から
粟野由美(東京造形大学)
私たちの視界は“複数の”色で埋め尽くされた配色画面である。絵画は、その中にフレームを切って特別な配色空間を現前させる芸術である。「“複数の”色で埋め尽くされた配色画面」を数学的に抽象化して解体し、具体的に再構築する、という方法を用いた事例は数多ある。そこでのIN/OUTの間にある不可知のブラックボックスは“魔法”の役割を果たし、受動的な楽しみ経験を創出する。今回報告するワークショップ『ひみつのレシピ』は、このブラックボックスに該当する過程を人間の行為に委ねることで、「画家との対話」を引き出し解釈して表現するアクティブ・ラーニングの題材とする試みである。小林光夫先生が示された「絵画の数学的解釈法」を筆者なりに解釈して方法化し、鑑賞教育に活かす事例として報告する。

●総合討論(15:30~16:00)
●研究会総会(16:00~17:00)