2016年11月2日(水)ヴォーリズ建築 重要文化財「神戸女学院」見学会

  • くらしの色彩研究会
  • 2016年11月04日

2016年11月2日(水)ヴォーリズ建築 重要文化財「神戸女学院」見学会

秋の澄んだ青空が広がる11月2日、ヴォーリズ建築 神戸女学院の見学会が開催された。
神戸女学院は1933年にヴォーリズにより建築された大学キャンパスで、2014年に校舎12棟が国の重要文化財に指定された。「スパニッシュ・ミッションスタイル」と呼ばれる各建物は、機能による形態と細部意匠に変化をつけて個性を持たせており、ヴォーリズの最高傑作とも言われている。
通常、神戸女学院の見学は限定予約のみと機会が非常に限られているが、卒業生である乾宏子氏の計らいで、特別に今回の見学会が実現した。
この神戸女学院はヴォーリズ最愛の妻である一柳満喜子の母校で、愛情あふれるような温もりを感じる空間が広がる。まずは美しいタイルやレリーフが見られる音楽館を左手に、緑の中の石段の小径を上がる。敷地内には建物が点在し、それらは木漏れ陽が心地よい窓が続く渡り廊下でつながっている。敷地の中心には広い中庭があり、各建物や渡り廊下からの眺めを楽しめる。
ギリシャ宮殿のような大理石のロビーを抜けると、そこは天井梁の唐草模様の装飾が愛らしい、吹き抜けの図書館。ここは特に北側のアーチ型窓から見る中庭の景色が素晴らしい。
また、学院四代目院長ソール女史にちなんで名付けられたソールチャペルには、静粛な空気漂い、七本の燭台のステンドグラスはじめ、ヴォーリズ氏のこだわりが随所にあふれ、その美しさにため息が出た。
他にも、理学館には「隠し屋上」があったり、女学院の校章にもなっているクローバーにちなんだ、「隠れクローバー」があったり、建物の中には様々な「仕掛け」が発見されるところが興味深い。
そんな遊び心たっぷりの「仕掛け」や、使いやすいようにと配慮された建物の細部、そして優しい光と穏やかな空気。ヴォーリズの温かな人柄が伝わるこの空間を、参加者たちは心ゆくまで満喫した。
その後、これもヴォーリズ建築である関西学院大学を見学し、充実した見学会を終えた。参加者11名。

※神戸女学院は、ホームページに於いての建物等の写真紹介が制限されております。そのため今回は神戸女学院で撮影された写真を掲載しておりません。下写真は関西学院大学の新月池。ヴォーリズらしい「スパニッシュ・ミッションスタイル」が水辺に映り込む、美しい場所です。