美しい日本の色彩環境を創る研究会 研究会報告
- 美しい日本の色彩環境を創る研究会
- 2019年02月10日
講師:小林 輝雄氏(一般社団法人 日本塗料工業会 色彩部)
報告者:下川 美知瑠(カラー&ファッションマーケティング+デザイン研究所)
2019年2月10日(日)名城大学にて、研究会が開催された。参加者は17名。研究会会員以外の参加もあり、盛会となった。今回の研究会は、塗料用標準色の色見本がこれまでと大きく変更されることを受け、実施された。
当日のプログラムは、講師の小林氏よりパワーポイントによる「塗料の基礎知識、塗料用標準色について、景観色彩について、ペイント検索システムについて」の解説後、日塗工色見本を使用した実習を体験した。
塗料用標準色は(一社)日本塗料工業会が建築物・インテリアなどの色によく使われる色を選び、塗料・塗装および関連業界の標準色として2年毎に発行されている。
1954年に初版を発行して以来、K版で34版目になり、色票番号だけで色が特定されて伝わるため、色彩設計や塗料の受発注に欠かせないツールとして定着している。
2019年K版では、次の点が特長とのこと。(1)収録色は、使用頻度の高い色を中心に、しかも塗料で色出しできることを前提に選定。(2)色数は、J版の632色をベースに色体系の見直しを行い、654色(新色60色)を収録。(3)新色60色のうち、要望の多かった内装つや消し見本36色を収録。(つや消し色票は指で触れないよう注意)(4)F版から、色覚の異なる方にも区分しやすい、「カラーユニバーサルデザイン(CUD)」推奨配色セットを収録。(5)環境負荷低減のため、全色、鉛・クロムフリー顔料の原色で色出し。(6)英文解説による海外向けポケット版も別途作成。(7)色を比べる際に差が判りやすい新「比色マスク」を収録(ポケット版)。
また、1ページの収録色票を8色から9色に変更(ポケット版)された点やカラーデザイナー待望の新色相1.25Y(全16色)を収録されていることも付け加えたい。
パワーポイント解説の後、カラーパレットを作成するJISの安全色・識別表示の色一覧表と日塗工色見本を配布して頂いた。時間の関係上、作成は省略し、その後、日塗工色見本と「比色マスク」を使用して、会場にあるドアやテーブル、コンクリート壁面等を視感測色と機器による測色をグループ毎に行ない、測色値を発表した。その結果、視感測色値と機械測色値がかなり近いことも体験し、改めて人間の目の精度の高さを実感した。
今回の研究会参加により、塗料の基礎と新標準色色見本の特長がよく理解でき、今後大変役立つと感じられた。