[PDF版はここをクリックしてください]景色通信Vol.14
『古都の扉は開かれているか』
歴史的まち並みの保存はデザインの規制につながるか。京都創生に取組んでいる古くて新しいまちを歩いてみた。改札口を通過すると目にとまる広告に「おもてなしの心」を感じながら、駅を出て深呼吸、早春の古都の風はまだ肌寒い。数日滞在して実感するのは、ここは生半可なまちではないことだ。観光客にもルールやマナーを守ることを、まち全体が求めているところである。整頓や設えが行き届いた所では、人間も優しく謙虚になれる。社寺を参拝しながらであればなおさらだろう。ここ京都の色には落着きを感じる一方で、交通施設サインのカラーシステムや名産品の広告ラッピング・トレインにはアイデアや機能美を感じる。全世界一律のCIカラーや、まちに不調和な広告看板は通用しない。いつの時代も変わらないのはデザインを追求する姿勢である。そして訪れる人は真の美だけが放つ清々しいエネルギーに感動する。心眼に映る新しく輝き出した古都の魅力。「保つこと、守ることは同時に新しいものを創る意識も在る」ということ。訪れる人が持てるだけの感性を使って触れて欲しいまち、それが京都だと思う。景観が美しいとそこに住む人まで美しく見える。また、行ってみたい気持ちにさせるまちだ。(加藤進久)